レジデントアーティスト:泉 太郎(美術作家)
2010年1月。アサヒ・アートスクエアが泉太郎の世界に染まる…
ちょっとばかばかしくて、思わず、「ぷっ」と吹き出してしまいそうになるパフォーマンスと、単純な手法を使い撮影~編集された映像作品で知られる美術作家、泉太郎。東京を拠点に、近年ではアメリカや韓国、タイなど各国の展覧会にも出展し、海外でも注目を浴びる泉太郎が、高さ約6m、総面積約260uという、アサヒ・アートスクエアの広い空間をどのように変身させてしまうのか。展覧会期間中も泉太郎が、アサヒ・アートスクエアで公開制作を続けます。アサヒ・アートスクエアが泉太郎の世界に染まる2週間。どうぞお楽しみください。
※期間中、随時公開制作を行いますが、ご来場の際にアーティスト本人が居ない場合もございますので、あらかじめご了承ください。
2010年1月16日(土)〜1月31日(日)休館日:毎週火曜(19日・26日)
※ オープニングレセプション: 1月16日(土)/18:30-20:00
【開場時間】11:00-19:00※本展覧会期間中のみ
【入場料】500円
【会場】アサヒ・アートスクエア4F/5F
東京都墨田区吾妻橋1-23-1スーパードライホール4F受付
~アーティストコメント~
「今日は本格的に霧が出ていて、向こうのほうに眼が届かないね。」…眼が届かない。僕らの体には自ずから届く範囲というものが決まっている。僕の腕だってせいぜい70センチ足らずなのだから、向こうのほうに手が届かないもどかしさはしようがない。
「しかし、視線を投げて、向こうのほうに触れることはできるんじゃないか?」
と、息巻いて言ってみたものの、
「?…眼で触れることなんてできないだろう?思ってるより、眼球ってやわらかいんだぜ。」
隣に座った頑固そうな男に言われて僕は少し落ち込んでしまった。俯いて眠ったふりをして考える。だったら僕はどうやって世界に触れたら良いのだろう…
電車の窓は、隔てられた内側と外側の落差を示すように曇り始めた。
眼に映る向こう側は、うつらうつらとしはじめる直前に似て、まさに眠気を誘う。指で窓をなぞった跡から、向こう側を伺う。今この映像は僕しか見ていないんだと思うと、子供のように車窓にかぶりつくのも許してほしい。僕の視線は窓で遮られることもなく、向こう側の世界に触れている。今度は口に出して言葉にしない。隣の石頭に即座に否定されるのがオチだ。
鞄の中からビデオカメラを取り出してのぞいてみる。
僕が眼で触れた世界を、明日あの子に見せるために撮影ボタンを押した。
泉 太郎
主催:アサヒ・アートスクエア
協賛:アサヒビール株式会社
協力:horomiyoshii
