アサヒ・アート・フェスティバル2009
AAF学校2009『思考の基礎体力』

【カリキュラム】全9回 ※講師、内容は予告無く変更になる場合があります。

第1回:7月27日(月)19:00〜21:00 講義レポート
〈芸術と政治II〉講師 五野井 郁夫

芸術と政治とは、ともにかけ離れているように思えながらも、その双方には共通項がある。それは、どちらもわたしたちの日常から縁遠く感じられてしまう点だ。芸術は美術館、政治は永田町、といった具合に。だが、芸術と政治とは本来地続きであり、両者はわたしたち当事者を媒介に今日、再び出会う。本講義では現在までの「芸術=政治」表現の系譜を紹介しつつ、芸術の今後を模索してゆく。
【講師プロフィール】五野井 郁夫(ごのい いくお):日本学術振興会特別研究員/東京大学特別研究員
1979年生まれ。東京大学大学院博士課程単位取得退学。専攻は政治学・国際関係論。世界中のフェスやパーティ、現代美術の国際展覧会、そしてストリートでの民主主義論と公共性をめぐる表現からグローバルな規範変容の関係を研究。2004年より現職。駒澤大学、東京大学などで講師を務める。


第2回:8月10日(月)19:00〜21:00 ※場所アサヒビール本社ビル3F会議室 講義レポート
〈芸術と戦後史〉講師:新川 貴詩
このところ、美術館やギャラリー以外の第三の場で展覧会が繰り広げられる機会が 増えつつある。商店街や廃校、工場、アパートの一室、温泉、路上など、ありとあらゆるところが展覧会場となりうる。この項では、第二次世界大戦後から今日にかけての美術館やギャラリーの変遷をたどるとともに、同時期に第三の場がどう社会に介入し、どのような意義をもたらせてきたかを数々の事例をもとに概説する。
【講師プロフィール】新川 貴詩(しんかわ たかし):美術ジャーナリスト。1967年生まれ。早稲田大学第一文学部卒、同大学院情報通信専攻修了。雑誌「i-Dジャパン」編集部などに勤務した後、執筆活動を開始。著書に『残像にインストール 舞台美術という表現』(光琳社)、編著書に『明和電機会社案内』(アスペクト)、『小沢剛世界の歩き方』(イッシプレス)などがある。著述業に加え、展覧会企画やワークショップ講師、学校教員なども務める。

第3回:9月6日(日)14:00〜18:30
〈「S/N」上映・愛好者から当事者へ〉講師:ブブ・ド・ラ・マドレーヌ、山田 創平

ダムタイプの作品〈S/N〉では「私は夢見る。私の〈性別〉〈様式〉〈権力〉が消え ることを」と語られる。あらゆるカテゴリーを脱ぎ捨てたその先にある「私」は可能か? 「私」を分類し、名づけ、主体化する権力の正体を「消費社会」の中に見出し、そうではない新しい「私」の可能性を切り開こうとした〈S/N〉。消費社会の限界が露呈し、人類が未曾有の閉塞に陥っているまさにこの時、〈S/N〉について考える。
*「S/N」は、パフォーマンス、インスタレーション、セミナーショウ等の形で1990年代にダムタイプによって展開されたプロジェクト。
【講師プロフィール】
ブブ・ド・ラ・マドレーヌ
:現代美術作家、HIV/エイズコミュニティ・ソーシャルワーカー。1961年生まれ。京都市立芸術大学美術学部構想設計学科卒業。国内外のアーティストと共同またはソロで、映像やパフォーマンス等の制作と発表を行うと同時に、HIV/エイズコミュニティ・ソーシャルワーカーとして活動。「S/N」パフォーマンスに出演。大阪府立大学人間社会学部社会福祉学科および関西学院大学人間福祉学部社会起業学科非常勤講師。
山田 創平(やまだ そうへい):京都精華大学人文学部専任講師
1974年生まれ。名古屋大学大学院国際言語文化研究科博士課程修了。文学博士。
専門は都市社会学、都市におけるHIV感染対策、都市史。厚生労働省所管の研究機関や民間のシンクタンクで研究員、リサーチフェローを務め、2009年より現職。


第4回:9月23日(水・祝)19:00〜21:00
〈労働としての芸術〉講師 櫻田 和也

世間は昨年末、とつぜん失業という言葉を思い出したようだ。でも、世のなかには失業できないひともいるということは忘れられたままのような気がする。失う雇用契約がなければ、失業する権利も失業したときの保障もない。もちろん最近では芸術のなかでも色々な働き方がみられる。でも生きいきとした労働「外」の時間、あの休みの日の前の歓びはどこへ? 夜もテレビ? そんな!
【講師プロフィール】櫻田 和也(さくらだ かずや):NPO法人 記録と表現とメディアのための組織 [remo]研究員1978年生まれ。2000年よりフリーランスのUnixサーバ技術者。2003年より、NPO法人 記録と表現とメディアのための組織[remo] 研究員としてオルタナティヴ・メディアにかんする調査研究および展覧会等の企画・制作を担当。現在、大阪市立大学都市研究プラザ特任講師。

第5回:10月5日(月)19:00〜21:00
〈芸術とマルチチュード〉講師 廣瀬 純

ヒッチコック『鳥』と小津安二郎『お早よう』の分析を通じて“群れ”の問題を考える。どちらの作品も“普通のものたちの群れ”が問題となっているが、一方においてはそれが“恐ろしい鳥”になるのに対して、他方では“普通のもの”のままにとどまる。この問題を通じて“創造行為とは何か”という問いを立てたいと思う。できれば、事前に上記の2作品を観ておいていただきたい。
【講師プロフィール】廣瀬 純(ひろせ じゅん):龍谷大学経営学部専任講師。1971年生まれ。パリ第三大学映画視聴覚研究科博士課程中退。2001年より、仏・映画批評誌「VERTIGO」編集委員。最近の著書に『闘争のアサンブレア』(月曜社)、『シネキャピタル』(洛北出版)など。訳書にパオロ・ヴィルノ『マルチチュードの文法』(月曜社)など。

第6回:10月12日(月・祝)14:00〜18:30
〈アクティビズムと芸術+ワークショップ〉講師 小田マサノリ / イルコモンズ

リクレイム・ザ・ストリート、クリティカル・マス、フラッシュモブ、モバイル・クラビング、ラディカル・マーチング・バンド、ラディカル・パペット、ドラムサークル、メディア・アクティヴィズム、デモクラシーなどについて、映像を使った講義とワークショップを行う。
【講師プロフィール】小田 マサノリ / イルコモンズ:元・現代美術家、アナーキスト人類学、メディア・アクティヴィスト、音楽活動家、東京外国語大学アジアアフリカ言語文化研究所特任研究員・中央大学文学部兼任講師。1966年生まれ。一橋大学社会学研究科博士課程単位取得退学。
1989〜1996年、東アフリカでフィールドワーク。2001年、横浜トリエンナーレ出展。2002年、現代美術家を廃業。2003年「殺すな」発起人。以後、イルコモンズ名義で執筆、デザイン、映像制作を行なう。2008年、「イルコモンズの回顧と展望」展開催。http://illcomm.exblog.jp/


第7回:11月16日(月)19:00〜21:00
〈メディアと芸術〉講師 藤井 光

メディアと芸術は一部の人々に独占されてきた歴史がある。特に社会の中で不可視化、周縁化されている人々にとってそれは生活から遊離したものと考えられてきた。しかし、長年のメディアと芸術の民主化運動により、現在では生存のための不可欠な要素となった。ここでは世界中のさまざまな路上からの表現の現在を紹介しつつ、誰もが表現者となる時代をイメージする。
【講師プロフィール】藤井 光(ふじい ひかる):現代美術家、映像ディレクター。1976年生まれ。パリ第8大学第三期博士課程DEA卒。路上、美術館、国会、裁判所、労働運動の現場において複数のコードネームを用い作品を発表する。また、映像メディアを誰もがアクセス出来る文房具として、制作技術 の普及や、アジアで活動するインディーメディアのプラットホーム構築などに関わる。

第8回:11月23日(月・祝)19:00〜21:00
〈市民活動と制度、ファンドレイジング〉講師 松原 明

この10年、企業と市民活動との関係は大きく変化してきている。消費者の変化や企業の社会的責任、また、ブランドメッセージを伝えていくためにも、企業は、市民活動との新しいパートナーシップを模索するようになってきた。市民活動にとって、プラスにもマイナスにも働くこの新しい流れをどう捉え、より良い関係を築いていけるのか。企業の社会貢献のトレンドについて概説する。
【講師プロフィール】松原 明(まつばら あきら):NPO法人シーズ・市民活動を支える制度をつくる会 常務理事・事務局長。1960年生まれ。神戸大学文学部卒業。企業勤務を経て、1994年11月に仲間とともにシーズを設立。NPO法立法や、NPO支援税制などの創設を市民サイドで推進してきた。著書に『NPO法コンメンタール』(日本評論社)、『NPOがわかるQ&A』(岩波書店)、共著に『ここからはじめるNPO会計・税務』(ぎょうせい)など。

第9回:11月30日(月)19:00〜21:00
〈芸術と政治II+クロージング〉講師 カクマクシャカ、加藤 種男

社会の〈違和感〉に果敢に挑もうとするアートの主体たちは、すでに政治的当事者たりえるだろう。
では、その当事者たちは、いまどこに立脚し、地域をいかに捉えようとしているのか。
そして、その〈姿勢〉はどうあろうとしているのだろう。AAF学校最終回は、「芸術と政治」について沖縄在住のミュージシャン・カクマクシャカとアサヒビール芸術文化財団事務局長・加藤種男が対談する。
【講師プロフィール】
加藤種男(かとう たねお)
:アサヒビール芸術文化財団 事務局長。1948年生まれ。アサヒビールの社会貢献部門を幅広く担当。特に企業による文化振興の旗振り役として、企業メセナ協議会研究部会長。横浜市芸術文化振興財団専務理事を兼務し、地域創造に取り組む。日本NPOセンター評議員、アートNPOリンク理事。共著に『社会とアートのえんむすび』(トランスアート)などがある。
カクマクシャカ:ミュージシャン、覚醒ORG主宰。地元・沖縄にて活動するカクマクシャカ。ジャンルに囚われずメッセージ性の強い表現で加藤登紀子やshing02などさまざまなアーティストとのコラボレーションを生み出してきた。shing02と坂本龍一らによる「stop-rokkasho」プロジェクトに賛同し制作した楽曲をサイトにて公開中。



【問】アサヒ・アートスクエア事務局
■主催:アサヒ・アート・フェスティバル実行委員会
■企画制作:NPO法人 アートNPOリンク
■協力:甲斐賢治(NPO法人 remo)

   
 
アサヒ・アートスクエア
東京都墨田区吾妻橋1-23-1 スーパードライホール4F TEL 090−9118−5171(事務局専用)
10:00-18:00/火曜日定休

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