就任のごあいさつ

  • 2020年7月1日

アートNPOの問い直し、再定義を/大澤寅雄

 このたび甲斐さんから理事長を引き継がせていただくことになりました。これまで当法人を牽引してこられた方々に深く感謝と敬意を表します。ありがとうございました。

 2003年に全国アートNPOフォーラムのプレイベントが横浜で開催されて以来、私たちは、非営利ならではのアートと社会の関りを模索してきました。全国各地のアートNPOとの協働によるフォーラムの開催や、調査研究を通じた情報収集、政策提言などに取り組んできました。この間、例えば指定管理者制度の導入、廃校の活用、創造都市、事業仕分けと事業評価、東日本大震災、社会包摂といった様々な社会的な動きに即応し、セクターや組織を越えた対話の場を生み出してきました。

 当初、事務局のアシスタントという立場で参加していた私は、4年前に理事として着任しました。が、その時期に組織の人的・経済的な基盤を縮小せざるを得なかったこともあり、当法人の方向性が見えにくい状況が続いておりました。そのような中で、昨年のあいちトリエンナーレをめぐる問題や、現在のコロナ禍に直面し、私自身が他者とのつながりによって助けられ、また他者からもつながりを必要とされていることを実感しました。

 アートNPOリンクが始動した17年前とは社会状況も異なり、アートNPOを取り巻く環境も、また私自身も変化しています。しかし、つながりを求める切実さは、17年前と同じか、それ以上と言えるかもしれません。そこで、再び「アートNPOとは何か」、そして「リンク(中間支援)とは何か」を問い直し、再定義することで、アートと社会の関係の「草の根」を地道に広げていきたいと思います。

 どうか今後とも、ご指導、ご鞭撻のほど、よろしくお願いいたします。